はじめまして。

BOOK LAB.北大生スタッフのNムラです。

今日は、お店にある本の中でもひと際異彩を放っていた本を紹介したいと思います。

 

『悪童日記』(アゴタ・クリストフ) フランスでの出版は1986年。

少し不思議な形式の小説です。

「ぼくら」「ぼくたち」というのがこの小説の主人公で、

どうやら双子の兄弟だというのはわかるのですが、

読み進めても、彼らの名前はもとより、具体的な人名も地名も、名前の類はまったく出てきません。

そして、感情にかかわる言葉も、意図的に除かれていることに気づかされます。

 

双子の体験した事実だけが書き綴られていく文章。

淡々と、非情な現実とそれに負けない双子の冷酷な行いが描写されていきます。

ゾッとします。

でも、ときおり透けるように見えてくる、双子の心の揺れ、素直さ、誠実さにハッとせずにはおれませんでした。

 

作者は1935年生まれ。

第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたハンガリーで幼少期を過ごしました。

その自身の体験を、この小説に託す祈りのようなものが感じられました。

でも「祈り」なんて優しい言葉でくるんでいいものではないかもしれません。

 

「ぼくたちが絶対にお祈りをしないことは、ご存じのはずです。そうじゃなくて、ぼくたちは理解したいんです」

 

名作です。

来店された際はぜひ手に取ってみてください!

 

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